今回はNetflixで配信中の映画「飢えた侵略者」についてご紹介していきます。
まだ見ていない方も、既に見たことのある方も是非最後まで読んでみて、今作をより楽しんで見てください。
今回の記事を読むとこんなことが分かります。
- 飢えた侵略者のあらすじ
- 全体の考察
- 謎のモニュメントについて
それでは「飢えた侵略者」について語っていきましょうー!
『飢えた侵略者』のあらすじ
ケベックの田舎町は地獄になり果てていた。
この狭い町でボニンはヴェズィナと一緒に各地に蔓延るゾンビを狩りながらトラックで移動していた。
世界の大半はゾンビのような人々でほとんどを占めてしまい、感染していない人間はごくわずかになっていた。
ヴェズィナも森で知り合いを見かけたが、その人もゾンビ化してしまっており、噛まれてしまったのでボニンが始末をつけることになった。
ボニンは一人で旅を続けていく中で、様々な人間と出会い、また失っていく。
ケベックという小さな村の中でも絶望は果て無く続いていくのであった。
今作の特徴
この作品の特徴は全てのことが日常に溶け込んでいる部分にあると考えます。
派手なBGMや効果音は少なく、環境音が目立つほどに静寂の中でシーンが続いていきます。
もしかすると、見る人によっては退屈を感じてしまう人もいるかもしれませんね。
館長はこの静寂が今作の最大の魅力でもあると感じています。
ゾンビと対峙したとき、真っ先に身を守る方法として重要なのは【見つからないこと】
広大な土地や音の響く場所では息をひそめ、足音を消すことが何よりも重要になります。
それを引き立たせる静寂は、恐怖をより促進させる起爆剤になりますよね。
また日中のシーンが非常に多く、ゾンビ(?)が日常に当たり前にいて、登場人物たちにとっての生活にある意味欠かせないものになっているという表現が見事にされてるんです。
王道のゾンビ映画にはない、新しい感覚を是非見る人には感じてほしいですね。
ゾンビについて
今作のもう一つの特徴はゾンビ映画であるにも関わず『ゾンビ』という定義について語られない部分です。
映画の冒頭から詳しい説明はなく、唐突にF1レーサーらしき男と女性がゾンビ(?)に襲われるシーンから始まります。
「飢えた侵略者」の中ではゾンビという言葉は一度も使われないので、存在が不確定のまま進んでいきます。
物語の中ではゾンビは『あいつら』と言う言葉でたびたび表現されます。
- 何かの疫病なのか?
- 宗教的な狂信者たちなのか
- 霊的なとり憑かれたもの
- 対立するものをああいう風に表現しただけなのか
色々な考えが出来ると思います。
これは完全に観た方に全てを委ねられるのです。
ちなみに館長は【疫病によるゾンビ化】という最もありがちな設定で見ていましたので2回目を視点を変えて楽しむのもいいかもしれませんね。
また『ゾンビ』をいう概念をあえて捨て去って見るのも楽しめる1つの方法かもしれません。
『あいつら』は本当に何者なのか?
何故人を狙い、人を襲い、理性のない行動を繰り返すのか。
そんなことを考えながら主人公たちの生活の中で答えを導き出すのもいいかも入れませんね。
謎のモニュメントについて
今作の最も象徴的と言えるのが、ゾンビたちが取り囲んでいる謎の「モニュメント」です。
机や椅子、衣類やおもちゃといった生活の様々なものが大小さまざまに草原や道端にそびえたっています。
なにより奇怪極まりないのが、このモニュメントを取り囲んでいるゾンビたちです。
ただモニュメントをじっと眺めて立っているだけ。
この姿には恐怖はもちろんのことなのですが、ゾンビとなってしまった人たちの悲しみや憂い、元の生活や世界へのあこがれなども感じられます。
そして、同時にモニュメントからは人類の文明社会の終わりを感じることが出来ます。
机や椅子、おもちゃなどは人々の生活に深くかかわっているものであり、そんな必需品とも言えるものが全く意味なく無秩序に積み重なる姿は、価値のないものへの変貌を感じますよね。
作品の中でモニュメントに詳しく触れることはありません。
ラストシーンではこのモニュメントに佇む人ばかりに頭がいきがちですが、その目線の先に元の生活の光を感じていると思いながら見ることでモニュメントに意味を持たせると見方が変わりますよ。
モニュメントへの自分自身の考えを反映させながら見ることを是非おすすめします。
館長のあとがき
さて今回は「飢えた侵略者」を紹介させていただきました。
Netflixでしか見ることしかできないのが残念ですが、加入している方は是非見ていただきたいです。
静寂の演出や、モニュメントの考察の楽しさなど様々な新鮮なポイントがあります。
登場人物の演技にもリアルな心情が乗っているので、全体の雰囲気をグッと引き締めてくれます。
- カナダ映画は初めて
- ゾンビ映画はちょっと怖そうで苦手
こういう方にも楽しみやすいのでよろしければどうぞ。