今回は2018年公開のホラー映画「来る」をあらすじ紹介していきましょう!
原作は澤村伊智先生の「ぼぎわんが、来る」で、比嘉姉妹シリーズの1作目にあたります。
監督は「渇き」「告白」などで大ヒットを連発している中島哲也監督です。
CMディレクターとして活躍したのち、象徴的な表現方法で素晴らしい映画を世に送り出しています。
今回のあらすじはそれぞれの登場人物に焦点を合わせて追っていきましょう。
それではごゆっくり。
あらすじ
1:田原秀樹の話~表~
田原秀樹(演:妻夫木聡)は妻の香奈(演:黒木華)と幸せな日々を過ごしていた。
香奈の妊娠が発覚してからは、秀樹は「最高のパパ」になるべく本を読み漁り、香奈と生まれてくる子供を「幸せ」にしようと必死になっていた。
そんなある日、いつものように最高のパパになるべく育児本を会社に持ち込んでいた。
後輩である高梨重明(演:仲野太賀)が会社の下に客が来ていると秀樹に伝える。
高梨曰く「チサさんの件で」と言うのだが、秀樹には心当たりがなかった。
秀樹は下に行くのだが客の姿はなく、高梨が後から追ってきたのだが話を聞いても上手く覚えていないと言う。
秀樹が「しっかりしろよ」高梨の肩をポンっと叩くと、高梨は肩から血を流し酷く痛がりその場に倒れた。
すぐに高梨は病院に運ばれたのだが、特に異常はなく噛み傷のようなものがあるだけと言うのだった。
1年後、高梨は入院したのち、衰弱死した。
秀樹には娘が生まれ、その名前は「知紗(チサ)」に決め愛情を注いでいた。
生まれる前から子育てブログを発信しており、秀樹は周りのパパ友から厚い信頼を集めていた。
最愛の妻である香奈と愛しい娘の知紗の3人で幸せな日常を過ごしていくのだった。
物語冒頭で描かれるのは田原秀樹の陽の部分です。
妻夫木聡さんの陽キャぶりには感激です(笑)
幸せな家族という幻想を明るい雰囲気と陽気な音楽で見事に表現しています。
特に結婚式のシーンは良くある出席者の愚痴や人の汚い部分が上手く演出されています。
幸せな日常に潜む闇がにじり寄ってくる演出はまさに中島哲也監督の真骨頂とも言えます。
2:田原秀樹の話~裏~
秀樹は日ごろのブログ更新に全てを賭けていた。
娘が泣き叫んでも気にせず、妻の苦労も無視して自分自身の描く理想の家族(幻想)をブログに綴っていた。
香奈が妊娠して大事な時期も、新居祝いで周りの注目を集めることに必死になっていた。
やることと言えば、安産祈願や家内安全のお守りが実家から大量に送られてきて、それをひたすら壁に貼ることくらいだった。
ある日、秀樹が家に帰ると電気は暗く玄関に貼ったはずのお守りはズタズタに引き裂かれていた。
家の中は激しく荒らされており、キッチンで香奈と知紗が泣き叫んでいた。
秀樹が何があったか問いただしても答えることなく怯えていた。
そのとき電話が鳴った。
受話器を取ると「ち・・・ちさ・・・」「つれて・・・」と聞こえ、秀樹は「あれ」が自分たち家族に迫っていることに気づいた。
秀樹は知人である民俗学者の津田大吾(演:青木崇高)に助けを求め、オカルトライターの野崎和浩(演:岡田准一)を紹介される。
野崎はヒガマコト(演:小松菜奈)と呼ばれるキャバ嬢で祓いの腕を持つ女性を紹介した。
マコトは秀樹の家に何度か足を運ぶと「あれ」が姿を現し、マコトの力では太刀打ちできなかった。
そこのマコトの姉であるヒガコトコから連絡が入る。
ヒガコトコはその筋では絶大な力を持つと呼ばれる日本最強の霊能力者である。
コトコの助言で「あれ」を今祓いに行くことは出来ないが信頼できる霊能力者である逢坂セツ子(演:柴田理恵)に力を貸してもらうことになった。
秀樹と野崎は逢坂に会うが、非常に強力な力を持つ逢坂ですら「あれ」の前では力を発揮することなく片腕をもがれてしまった。
家族が危ないと逢坂に言われ急ぎ香奈に電話し知紗とともに逃げるよう秀樹は伝え、自分自身は家に向かうことにした。
だが、今戻っても誰もいないことで家に戻るのをやめようとしたのだがコトコから電話が入り祓いの手伝いをするため家に向かった。
家に戻るとコトコの指示に従って鏡を割り、刃物を片付け、水の入った器を廊下に並べた。
最後にコトコは「ではあれを迎え入れましょう」と言い、秀樹は言われた通りに玄関のドアを開け準備を完了させた。
すると、家の電話が鳴りそこからもコトコの声が聞こえてきた。
「タハラヒデキさん聞いてください、それはあれの罠です」
「あれは鏡と刃物をひどく嫌います」
「今すぐそこから離れてください」
いくつかの忠告を受けるものの時すでに遅く、「あれ」は家の中に入ってくるのだった。
秀樹は逃げようとするも空しく、気づいたときには上半身と下半身は離れ、内臓が零れ落ちているのだった。
家族を愛することもなく自身の欲に溺れ続けた男の最後だった。
野崎和浩・比嘉真琴など徐々に主役が揃ってきました。
原作と比べて野崎はよりワイルドな雰囲気に、真琴もバーではなくキャバクラで働いている設定に変わっています。
田原夫婦と比べて影のある印象を際立たせるために演出上の変更だと考えます。
また逢坂セツ子を演じた柴田理恵さんの演技は最高です。
実力のある霊能力者の迫力のある雰囲気をまとい物語に刺激を加えてくれています。
また香奈の影の部分も徐々に明らかになります。
幸の薄さと影の濃さを見事に演じた黒木華さんはさすがと言えます。
3:田原香奈の話
香奈は秀樹が死んでから知紗を育てるために必死に働いていた。
知紗は体こそ大きく成長はしたものの、病弱で手のかかる娘になった。
もともと働いていたスーパーでパートをするものの、保育園からの呼び出しで何度も早退や抜け出しを繰り返し居場所が無くなっていた。
溜まったストレスのはけ口は知紗に向いていき、家事も疎かになり、知紗にはキツく当たる日々が続いていった。
そんなある日、秀樹の親友である津田から連絡がはいり会っていた。
津田はひとり親の支援などを調べて香奈に情報を提供していた。
そして2人は夜をともにした。
というよりそもそも香奈は知紗が生まれてすぐ秀樹を見限り、そのとき近づいてきた津田と関係を持っていたのだった。
津田は香奈に何かあった時の為にとお札やお守りをくれていた。
香奈にとっては今の唯一の心をの拠り所だった。
ある日野崎が様子を見に家にやってきた。
香奈は秀樹が死んだとは思えないほど元気で野崎も安心した様子だったが、仏壇に備えてあった津田のお札だけが気がかりだった。
野崎は「田原さんは父親としてしっかりやっていたと思いますよ」と伝えるも香奈としては一切聞き入れるつもりはなかった。
その苛立ちは表情には出さず、野崎が帰り際に用意した盛り塩を踏み潰すことで発散するのだった。
野崎の言葉が引き金にもなり、香奈は女として生きていくために全てを放棄し始めた。
育児放棄した母親の口癖である「女の子はいつでもキレイに」を言いながら津田との情事にハマっていった。
香奈が自身の楽しみに耽っているときにヒガマコトが家にきた。
マコトは秀樹の死に病み自身を責めていたが知紗が気になり家に来たと言う。
香奈はマコトに留守番を頼み、この日も津田のもとに向かうのであった。
マコトは知紗と遊んでいると野崎から連絡が入る。
その連絡は津田のくれたお札は「魔導札」でそれが「あれ」を呼び込んでいるという衝撃的な内容だった。
津田は知紗を消すために「あれ」を誘い出すために札に呪いをこめていたのだった。
マコトは札を破き、燃やし捨てた。
香奈が家に帰り、知紗が眠るとマコトに対して「その子、あげるよ」と言った。
マコトが動揺しているとき「あれ」は知紗の中に入ってきてしまった。
マコトは必死に知紗を抱きしめ「あれ」を何とかベランダに追いやり自身とともにベランダの窓を閉め香奈に知紗を連れて逃げるように言った。
ベランダの窓には大きな血しぶきが飛び、マコトは「逃げて・・・」とだけ言い倒れた。
香奈は知紗を連れて行く当ても無く駅のレストランに入った。
知紗が笑顔でオムライスを食べているのを見て自分の情けなさを突き付けられた。
頼みの綱である津田も電話に出ることもなく、彷徨うしかなかった。
駅のトイレに知紗とともに入るとドアをノックされる。
「あれ」が来たのだった。
香奈は必死の抵抗をするも空しく、知紗は「あれ」に連れ去られ、香奈は血の海の中で命を落とすのであった。
今回の「来る」は原作同様ですがネグレクトも大きくテーマとして扱っています。
現代社会の闇が色濃く出るパートで香奈の苦労と徐々に現れる残忍さ。
子供への強い影響など、人間の表と裏を演出しています。
知紗の無邪気な様子はこのパートではより不気味に見えてしまうのが悲しいところです。
4:野崎と比嘉姉妹の話
比嘉真琴は「あれ」との戦いで大きな傷を負っていた。
「あれ」の傷は普通の傷ではなく、生気を吸い死に追いやる傷であった。
マコトが入院している病室で野崎は眠りについていた。
夢の中で昔のトラウマにうなされ、目覚めると目の前にマコトの姉である比嘉琴子(演:松たか子)が立っていた。
琴子は機械的に野崎に挨拶を済ませると「明日中にあれを片付ける」と言い準備に取り掛かった。
埼玉県警の署長、沖縄のユタ(シャーマンのようなもの)、実力のある神道の祓い屋などありとあらゆるジャンルの実力者が「あれ」の退治に集まるのだった。
そこには逢坂セツ子の姿もあった。
片腕を失いつつも能力に劣りはなく、琴子に協力してくれていた。
野崎は琴子に頼まれて、祓いの協力をすることになった。
その前に津田の様子を見にいったところ、ひどく衰弱しており「あれ」の影響が顕著に出ていることが分かった。
死にゆく津田から逃げるように野崎は田原夫婦の住まう家に向かった。
そこでは予想を絶する「祓い」の準備が行われていた。
「あれ」を祓うということはどれほどの犠牲や覚悟が必要なのかを野崎は深く理解するのだった。
マンションの住民は全員警察の指示で避難させられていた。
マンション前の公園には神道・ユタ・仏教・科学者などが祓いの準備を行っていた。
その様子はある種の祭りのようにも見えた。
野崎が田原家の部屋に行くと、そこには秀樹と逢坂の姿があった。
香奈の死後、何故か秀樹のブログの更新が再開していたのだ。
秀樹は自身の死を受け入れることができず、その場に思いが留まっていた。
逢坂はその思いを優しく聞くと、秀樹に自身の死を認識させ祓った。
逢坂は野崎に「痛みだけがあなたを現実に引き戻す」と教わり、琴子の手伝いをすべく部屋の掃除から始めるのだった。
そうしてすべての準備は整った。
公園には各流派の祭壇が完成し、マンションの四方を神官が結界を作り取り囲む。
琴子はまず「あれ」をおだてて招き入れるという。
野崎は部屋から去るように言われるが、真琴と知紗が「あれ」から解放されるまで残ることを決意する。
琴子は呆れ、手伝わせることにし「あれ」を招き入れた。
「あれ」は野崎を部屋に引きずり込み真琴の幻影で野崎にトラウマを見せつけた。
琴子は招き入れることに成功したので祓いに移行した。
祓いの力は強力で、真琴・知紗を取り戻しあと一歩のところまで来ていた。
しかし「あれ」の力は絶大で、公園の祓い屋達は壊滅寸前、琴子も自身の「弱さ」を突かれ呪いのダメージを受けてしまう。
琴子は知紗を「あれ」と結びつきが強すぎるうえであっちの世界に返そうとするが、野崎と真琴によって阻まれる。
この隙にもあれは力を増し最後の攻撃をしかけようとしていた。
知紗を抱きしめる野崎をベランダから突き落とし、真琴を部屋から追い出して琴子は最後の祓いを行った。
野崎は花壇がうまくクッションになり、知紗とともに助かった。
「あれ」は過ぎ去り、野崎と真琴、知紗はベランダで一休みをしていた。
知紗はオムライスの夢を見て何事もなかったかのように眠りについているのだった。
琴子の除霊シーンは圧巻のスケールです。
特に様々な霊能力者が集められ戦いだすシーンはまさに霊能力者バトルロイヤルといった感じです!
原作では琴子1人で戦うので意外にあっさりとしているのですが、映画はド派手に演出してくれているので
非常に見ごたえがあります。
また霊能力者が集まるシーンでの神官の移動シーンで危険に気づき適切な行動をする姿が
歴戦の猛者を現しています。
柴田理恵さんの最後の戦いにもぜひ注目ください。
[終わり]
「来る」いかがだったでしょうか?
「来る」はただのホラー映画ではありません。
ある種ドキュメンタリーとも言えると考えます。
現代の恐怖を違った形で演出し、スピード感ある演出で見る人の感覚を大いに刺激します。
現在VODではAmazonプライム限定で見放題で見ることができます!
ここで少しだけAmazonプライムのご紹介
Amazonプライムは月額500円(年会費なら月額計算408円)で1万点以上の映画が見放題です!
プライムに申し込むと音楽聞き放題の「Prime Music」や本の読み放題の「Prime Reading」など様々な特典が利用できます!
対応できるデバイスも非常に多いので、スマートフォンでもテレビでもどこからでも楽しめます。
今なら30日間無料で利用できますので「来る」が気になった方は是非お試しください!
それでは本日はここまで!